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研  究  概  要

                       
1 研究主題


  他とのかかわりの中で,確かな学力をはぐくむ学習指導の工夫 

   ~認め合い,学び合い,高め合う授業づくりを通して~


2 研究主題設定の理由

 本校の生徒は,素朴で穏やかな生徒が多く,小さい頃からの温かい人間関係がつくられている。また,小規模校ならではの特色として,何事にも全校一体となって取り組む場面が多いので,男女や学年の垣根を越えて協力しあう意識を持っている。
 全体として何事に対しても,与えられたことをきちんとこなそうとする意欲が高く,目標達成に向かいねばり強く努力する姿もみられる。しかし,自主性・耐性から見ると,個々において,苦しさを乗り越え,よりよい自分の姿を求め,道を切り拓いていくための強い意思や姿勢,技術の点で物足りなさを感じる。
 学習面では,与えられた課題には熱心に取り組むが,自ら課題を見つけ出し,その解決に努力する姿勢が弱く,教師の直接的な指導に頼る傾向が強い。しかし,よい考えや意見を持っている生徒も多く見られるので,集団の中でのかかわり合いや学びあいを通して,活発に発表し合える学級集団作りや,表現力をはぐくむ学習活動を大切にした取り組みが求められる。
 

 これまでの取り組みから,徐々にではあるが,学んだことを相手に伝えよう,発信しようとする姿が生徒の中に見られようになり,各教科で足並みをそろえて話す力を育ててきたことが実を結びつつある。しかし依然として,次のような点が課題として挙げられている。
 ・自分の考えをもっていても,なかなか大勢の集団の前では発言できない。
 ・根拠を示しながら自分の意見を相手に伝えたり,事実とそこから考えたこととの区別を明確に意識して話したりすることができない。
 ・話し合いを行うための知識や技能の習得が不十分なため,活発な話し合いが行われなかったり,話し合いが深まらなかったりする。
 
 昨年度より,言語活動を充実させた各教科等の授業改善に取り組むことを新たな視点として加えた。新学習指導要領で重視する「言語活動の充実」,即ち各教科等における言語活動を通して,知識・技能を活用できる能力としての思考力・判断力・表現力の育成を図るということである。
 中教審の答申にあるとおり,「確かな学力」の重要な要素が「基礎的・基本的な知識・技能の習得」「知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・思考力等」「学習意欲」であるとするならば,「確かな学力」を身に付けるためには,習得された知識・技能が活用され,思考力・判断力・表現力が育成されなければならない。また,知識・技能を習得するのも,それらを活用し課題を解決するために思考し,判断し,表現するのもすべて言語によって行われる。教科等のねらいの達成を通し確かな学力が身に付くとするならば,教科等のねらいを達成するために言語に関する能力の育成を図り,言語による活動を充実していくことが,確かな学力を身に付けるために求められていることだと考えることができる。
 ところで「受信する→思考する→発信する」のプロセスは,個の中で行われるものであるが,この活動はペアやグループ,学級集団といった他とのかかわりの中で行われることによって,より効果的に働き,そこから学び合いがより深まることが期待できる。
   以上のような視点から研究主題及び副題を標記のように設定した。


3 研究の仮説

  各教科等において,他者意識をもった「受信する→思考する→発信する」学習活動をスパイラルに展開し,共に学び合う言語活動を工夫することにより,習得された知識・技能が活用され,確かな学力が向上するのではないか。

「受信→思考→発信」のプロセスで行う言語活動は,各教科等で学習された言葉(習得された知識・技能)により,各教科等の特色に応じた表現方法を用い行われる。つまり,教科等のねらいを達成するために,授業において現在学習している内容を,習得された知識・技能を用い,まとめたり考えたりし,それを教科等の特色に応じた表現方法を用いて表したり述べたりする言語活動を充実していくということである。その際,教科等のねらいに迫るためには個々でまとめたり(受信),考えたり(思考)したことを,表し(発信),それらをもとに学び合う学習活動が必要になってくる。またさらにこの学び合いで得たもの(受信)を生かして自分の考えを見つめ直し,再検討(思考)した自分の考えをまとめ発信(発信)するという言語活動をスパイラルに展開させることで,教科等のねらいに迫ることが可能となる。

 こうした活動を可能とする重要な要素の一つは,コミュニケーション能力と考えられる。ペアや小グループでの活動を含めて,学級内での異なる考え方を相互に取り入れ深めていくなど,教室内の日ごろからのコミュニケーションを充実させるという,これまでの取り組みを基盤にしながらコミュニケーション能力を高めていきたい。また,コミュニケーションの基本的なスキルを確認したり,積極的に発言したりすることだけでなく,相手の発言をしっかりと聞き取り,受け止めること,状況に応じて的確に返すことを含めて,「聞く力」を育てる指導を重視し,生徒が授業やコミュニケーションに参加し,互いに理解し合えるような工夫も必要であると考える。

 また,個のレベルで考えるだけではなく,みんなで検討し合う必要がある課題を設定することによって,練り合いが必要になる。生徒は課題についての自分の考えを立証するために,資料の内容や収集の方法を考えたり,活用方法を考えたりなど,表現の仕方を工夫することになる。その結果,そこに学び合いも生まれることになる。このように,学び合う必然性のある学習活動を工夫することによって,生徒の思考力,判断力,表現力を育成していくことが可能になると考えられる。

 
 なお,言語活動を支える,言語に関する能力の育成は,各教科等における指導だけではなく,学校生活全体で行っていくべきもので,それがコミュニケーションや感性・情緒をはぐくむ基盤ともなると考えられる。そのため,言語環境の整備や読書活動の推進,日常の言語生活全体の指導が必要である。


4 研究の重点

(1)言語活動の充実をはかるために行ってきた取り組みの継続

 ①山中3つの実行「めあて 学び合い まとめ」の授業での共通実践

  ②「受信する→思考する→発信する」の活動をスパイラルに取り入れた学習の展開と工夫
  ③教科等のねらいを達成させるために行う言語活動の内容等の吟味
   教科等としての重点(指導方法や指導内容等)や相互の 関連性の再検討

(2)「言語活動の充実」を支える取り組み

 ①日常的な言語環境の継続(全校読書,短学活・集会等での言語活用場面の設定等)
 ②日常の言語生活の質的向上→日常生活での望ましい対話や会話のあり方の工夫

(3)学力向上への取り組み→主体的に学習する姿勢の育成

 ①定期テストや基礎検定等に向けて,計画の時間を充実させる。
 ②キャリア教育の視点から学習の大切さを意識づける。

 (4)授業改善のための中間評価の実施

  ①定期テスト結果の分析を通して,各教科の目標が達成されているかどうかを評価する。
  ②長期休業中に課題解決の方法を見つけたり,解決の過程をまとめたりする力がどこまで育っているかを評価する。
  ③授業において,ねらいに迫る学習過程が工夫されているかを評価,検証する。
  ④生徒がじっくり考えたり,意欲的に活動したりする授業が進められているかを検証する。